ミッション 2030 と 祈りを深めるセミナー
ニューズレター No.3  2017年7月31日発行 PDFファイルはこちらから>>

1.家族とのかかわりをふりかえる(英神父)

1-1:なぜ家族をテーマに:
4 月から毎月祈りのカードをスタッフといっしょに作ってみなさんとわかちあってきま した。今回は、祈りがあまり抽象的になりすぎると実生活から浮き上がってしまったり、 あるいは祈りを難しく考えすぎたりしがちなので、家族という身近なテーマを選び、具 体的な家族とのかかわりに焦点をあて、みなさんとふりかえりをしながら祈りを深める ことにしました。
幸せとか不幸ということを考えると、自分のことや仕事上のかかわりよりも、実際、
7 割くらいは家族のことではないでしょうか(私が人の人生相談に乗る経験から)。 したがって日常の家族とのかかわりの中でどのように信仰と生活の統合をはかっていく かが大切になってきます。これが今回家族をテーマとして選んだ理由です。
しかしながら、このテーマは極めて難しく複雑で一律に語ることができないものです。
なぜなら一つひとつの家族は極めて個別的で、抱える問題は全く違うからです。このテーマだけでも年間のテーマにできると思います。

ご存知のように教皇さまが、2014 年と 2015 年にローマで開かれた家庭をテーマにした シノドス(世界代表司教会議)を踏まえて、2016 年 4 月に使徒的勧告『アモリス・レテ ィティア(愛の喜び)』を発表されました。残念ながら邦訳はまだ出来上がっていません が、この勧告の中でも家庭に関する問題、例えば結婚、離婚、再婚などについて扱われ ています。
さらにあまり手にされたことはないかも知れませんが、神学の専門誌『神学ダイジェス ト』夏 122 月号でも特集として家庭を取り上げ、結婚・離婚・再婚の問題を教会の司牧的観点から論考しています。少し難しいかもしれませんが、一読の価値は十分にあります。
今日はさわり程度になるかも知れませんが、一緒に家族とのかかわりについて 一人ひとりそれぞれ自分の立場でふりかえっていきたいと思います。

ふりかえりに入る前に、余談になりますが、幸福についてさまざまな調査があります。
統計的には、結婚している人のほうが独身者よりも“幸福度”が高いという客観的な結
果も出ています。それに対して、現代の社会では、独身者が増えるという皮肉な現象が
生まれています。また結婚している人のグループで子どもの有無により“幸福度”が変
わるかどうかという統計もあります。結果は、大きな違いは無かったそうです。子ども
がいることは、喜びも増えるが悩みも増えるということでしょう。

このように幸福という観点からいろいろなライフスタイルについての研究がたくさん行 われていますが、私たちがふりかえりをするときは、神の目から見て何が求められてい るかという観点から、私たちの生活を聖霊の光のうちに見つめなおすことが大事です。

1-2:意識の究明:

配付した資料の 1 枚目を見てください。前回のセミナーで意識の究明の簡単な説明を しましたが、今回は 1 日の終わりに 15 分くらいかけて行う究明を 4 つのポイントに 分けて説明しています。

これからここで 15 分間ぐらいこの資料にそって実際にふりかえりを一緒にしましょう。 私がそれぞれのポイントについて導きをします。私は普段使っている究明ノートを持ってくることを忘れたのですが、みなさんは目をつぶって究明してもよいですし、あるいはノートに書いても構いません。私の導きにしたがって最近の 1 週間、数日でも 1 日で も結構ですので、家族とのかかわりについて究明しましょう。

1)心を整える(感謝)
・呼吸を整え、祈りやすい姿勢をとり、心を整え、最近の家族とのかかわりに感 謝をしましょう。たとえ問題があったとしても私たちは神の恵みのうちに生き ており、神が支えてくださっているので、この恵みに対して心の中で感謝をし ましょう。

2)光を求める
・最近の生活を神の目でふりかえりましょう。たんなる自己分析でなく聖霊の光 によって生き方を照らしていただくように願いましょう。聖霊の光を願いましょう。

3)ふりかえり
1 最近家族とのかかわりで心を動かされたことはどんなことがあったでしょうか。 それをふりかえり思い出してみましょう。心を動かされたことにはプラスのこと もマイナスのこともあったでしょう。ノートに書き出しても結構です。
2 書き出したものの中からひとつのポイントに心を留め、この点についてどの ような気持ちだったのか、喜んでいたのか、悲しんでいたのか、怒っていた のかあるいはどのようなことに平安を感じていたのかを思い、考えて心の動きを味わい直してみましょう。
3 そしてこの心の動きをみて、なにか気づくことがあったかどうか考えてみま
しょう。

4)神との対話
1 神は私に何を伝えたかったのか。神の視点から、私をどう導こうとされていたのか心で聴きましょう。
2 こんどは自分のほうから神に対して祈りの言葉で今の素直な思いをお返ししましょう。そしてこの思いに対して神がどう思われているのか聴いてみましょう。 場合によってはまだ思いがはっきりとした形をとっていないことがありますが それもかまいません。

5)願い「お願いします」
・これからあるいは今日から明日、未来に向かって家族のかかわりについて必 要な恵みを神に心の中で具体的に願ってみましょう。たとえば神に「私はこ の点をこのようにしたいと思います」とか、家族の誰かに対して「私はこうします」とか祈ってみるなど。
・恵みを願って主の祈りを唱えて終わる。

1-3:
その他:
・この究明は『霊操』の 43 番の一般究明を現代化したものです。
・1)から 5)までを小さなノートに書き究明していく方法もあります。
・イエズス会では 5 本の指を使って上の 5 つの究明をしていたときもありました。 ・大切なことは毎日実践して習慣にしていくことです。
・今後、希望があれば祈りのセミナー毎にこの究明を 15 分ほどするのもよいのでは
ないかと思います。
・少ない人数でこの究明をしたときは、そのあとでわかちあいをするとよいと思います。

2.ルカによる福音(家族の関係をふりかえる)

2-1:聖書と家族:
・福音書を読むかぎり家族を大切にしたほうがよいという箇所はほとんどないと 思います。むしろ逆の箇所のほうが多いようです。例えば、マタイ福音書 10 章 37 では、家族に反するような「わたしよりも父や母を愛する者は、わたしに ふさわしくない、わたしよりも息子や娘を愛する者もふさわしくない。」と書 かれています。なぜなら福音書は、神が第一であることを中心に書いてあるから です。
・パウロの書簡で家族のことに少し触れているところがありますが、あまりにも規範的できまりきったことを書いているので現代ではそのまま受けとめることが難しいように思います。(例えば、コロサイ 3:18-21)

・それに対し 3 月 11 日の東日本大震災のとき、被災者の多くの人が、「家族のこと が 1 番大切だ」と思っていることがよくわかりました。実際のところ、私たちに とって家族や家族とのかかわりが実際に何よりも大切なことは事実だと思います。
・つぎに資料に挙げたルカ福音書の箇所(2:22~2:52)は今私たちが家族との関係を考えるときにヒントを与えてくれているように思えます。少しこれを一 緒に考えてみましょう。

2-2:神殿で献げられる(ルカ福音書 2:22~2:38)
・この福音書の箇所は現代の 3 世代問題として家族のかかわりを読み解く一つの実 例かもしれません。ひとつはイエスの父親探し、それに伴う父親不在・母子癒着、 もう一つは老年期のありかたについてです。
・ここではヨセフ、マリアが幼子イエスを聖別するため、エルサレムの神殿にでかけ ていったときのこと、そしてイエスが 12 歳になったとき過越の祭りにエルサレムの 神殿に行ったときの話が述べられています。12 歳のときの出来事はイエスの 3 日間 の失踪としてもよく知られています。
・ユダヤ教ではバル・ミツバという成人になるための儀式があります。成人男子は 13 歳になると神殿で試験があり、これに受かると安息日にトーラなどの朗読ができるよ うになります。朗読には 10 人の成人男子が必要でした。この過越のときのイエスのエ ルサレム行きも似たような理由からだったと思います。
・少年イエスの問題は父親が誰かという問いでした。マリアは実の母ですがヨセフ は養父にすぎません。子どものとき、何かをきっかけにして(例えば、近所のおばさんから話されたとか)、ヨセフが本当の父ではないことを知ったでしょう。 それから彼は本当の父親は誰なのか心の中で探していたかもしれません。そして ついに神殿の中で、神こそが自分の真の父であることを悟りました。だから彼は、 神を「アッバ、お父さん」と心から呼ぶことができたのでしょう。
・3 日の失踪のあと、イエスは家族に発見されますが、失踪したことを叱責したのはヨセフではなく、マリアでした。本来このような状況では父親が叱るべき ですが、実際はマリアが叱責しました。このようなやりとりからも、イエスは母と深く結ばれていましたが、父との関係は薄かったのではないかと推測されます。
・幼子イエスを神殿に連れて行ったとき、年とったシメオンとアンナとの出会いが ありました。この二人は老年期にあり神を見出すため祈りの生活をしていたと書かれています。観想のうちに神を求め、神を賛美する生活をしていました。これは私たちの老年期の過ごし方について一つの参考となるのではないでしょうか。
・これは単なる参考のための解釈です。イエス・マリア・ヨセフの関係をよくみる と、何の問題もない理想的な家族関係ではなかったように思います(セミナーでは取り上げなかったのですが、イエスと母マリアの対話も妙なものが多いです)。 単に理想的な聖家族として尊敬するよりも、現実の問題を抱える家族の一つとし てみるとき、私たちの現実の家族の関係を見直し、改善していくヒントがあるかもしれません。

3.家族のために・ともに(何を願うか)

3-1:ワークシート(3 頁目):
・このワークシートは家族というテーマがミッション 2030 の 4 本柱に全部ひろく 関わっているので作りました。つぎの点を参考にして究明してください。

3-2:祈りを深める:
・日本では家族全員がカトリックという家庭は少なく、一人だけがカトリックと いう家庭が多いのではないかと思います。したがって家族でともに祈るということは少ないでしょう。
・もし家族の中で信者が複数いるならば、ともに祈りのときをもつ工夫をしてみたらどうでしょうか。ほんのちょっとの時間でもよいと思います。
・もし家族の中で一人だけが信者ならば、家族のために祈りをささげる時間を作って みてください。離れて住んでいる家族のために祈ることもとても大切でしょう。
3-3:福音を伝える:
・家族に福音を伝えることは難しい、ほんとうに難しいことだと思います。
・それでも、信仰をもっていない家族のメンバーに今何かできることがないかを考
えてみましょう。
・洗礼を受けていても信仰を失っているように見える家族のために今、何ができる
かを考え、祈り求めてみましょう。
・家族で信仰を共有できている人の場合、ともに何ができるかを改めて考えてみま
しょう。夫婦で、親子で福音を誰にどのように伝えたらよいでしょうか。家の近所に、親類の中に、福音の喜びを必要としている人がいるかもしれません。 その人たちに何ができるかともに考えて、話し合い、願い求めてみましょう。

3-4:共同体を生きる:
・家族はすべての共同体の基礎だと思います。自分の家族に共同体的な交わりがあるかどうかふりかえってみましょう。
・家族が真の共同体になるように今、何が必要だと思うでしょうか。それを願い求めてみましょう。例えば、対話・ゆるし・和解・祝い・祈りなどなど。

3-5:きょうどうを生きる:
・家族のライフステージはさまざまでしょうが、家族のメンバーと今、何を協力し ていくことが必要でしょうか。それをふりかえってみましょう。
・子育てがメインの人は、イエスの子ども時代のエピソードを参考にしてみてくだ さい。
・高齢者を抱える家族、あるいは、自分が高齢者である場合、シメオンとアンナの 生き方を参考にして、何ができるか、何を大切にして生きるかをふりかえってみてください。(いずれもルカ 2 章を参照)

4:ミッション 2030 の 4 本柱の進捗状況の報告:

4-1:祈りを深めるグループ:
・5 月の主なイベント(参加者数は概算):
15 月 14 日(日):第 1 回ミッション 2030 と祈りを深めるセミナー
@ヨセフホール(130 名) テーマ :「ミッション 2030 の説明、聖イグナチオの霊操・特別究明、福音の喜びを見つめてみる」
25 月 19 日(金):聖体賛美式@ザビエル聖堂(100 名)
➂5 月 28 日(日):リビング・ロザリー@主聖堂(80 名)

・6 月の主なイベント:
6 月 04 日(日):祈りの集い@ザビエル聖堂 「聖書通読リレー」(20 名)
Sr.杉原の講話「聖体礼拝の恵み」(80 名)
Sr.冨田の講話「ロザリオの祈りの恵み」(40 名)
Fr.英の講話「共同体の一致」(25 名)
「聖歌を歌おう」(40 名)
「聖体賛美式(ベネディクション)」(90 名)
6 月 11 日(日):第 2 回ミッション 2030 と祈りを深めるセミナー
@ヨセフホール(130 名)
テーマ :「神との生きた交わりを深めるために、ありがとう、ごめんなさい、お願いします、霊操・一般究明」
➂6 月 16 日(金):「聖体礼拝」@ザビエル聖堂 Fr.英の講話「神との生きた交わりを深めるために」(40 名)

6 月から「祈りのカード」を厚手の紙にしてカラー化した。

・7 月の主なイベント:
7月22日(日):第 3 回ミッション 2030 と祈りを深めるセミナー @ヨセフホール(120 名):「家族と祈り-家族とのかかわりを見つめなおす」
7月23日(日) : Fr.ケルクマンの英語講話「イグナチオの霊操-愛を頂くために」
@岐部ホール 310、日本語通訳付き
7月27日(金):ラビリンス・ウォーク@ヨセフホール
7月28日日(土):ラビリンス・ウォーク@ヨセフホール
7月29日(土):聖イグナチの祝日のための「講話、黙想、聖体顕示」
@ザビエル聖堂、13:00~17:00
Sr.品川の講話「聖イグナチオが求めていたもの」英語通訳付き
7月22日(土)から 30 日まで聖イグナチオの取り次ぎを求める祈り

・8 月の主なイベント:
8 月 6 日(日)から 8 月 15 日(火)の平和旬間に「平和の祈り 2017」を唱える。

4-2:福音を伝える:

・「開かれた教会」というミッション 2030 の宣言内容の具体化を目指す。そのために、
1 新しくつながりを求めて来る人を迎え入れる体制作り(ネットを通した迎え入れ)、
2 教会を訪ねて来る人の迎え入れ体制の充実(広報連絡会);コンシェルジュ体制構築の準備、
3 信徒による講座開設の準備と支援。
・2018 年本格的な活動を開始する。

4-3:共同体を生きる:

・2019 年本格的活動開始だが、現在 3 つの活動進行中。
・受洗・改宗 5 年までの信徒を対象にアンケート調査を行った。
アンケートを 923 名の対象者に郵送。24 名宛先不明で返送。899 名に届く。回答者
291 名で回収率約 32%。秋口には結果を発表する予定。現在アンケート結果を精査中。
・青少年の活動支援の一環として 7 月 29 日から 8 月 7 日までインドネシアのジョグジャカルタで開催されるアジアン・ユースデーに当教会から 7 名の若手信徒を派遣する ことになり、7 月 16 日(日)の 10 時ミサで主任司祭による派遣の祝福式が行われる。 派遣費用は青年たちが募金活動を行って集めた献金で充当。9 月 3 日(日)にヨセフ ホールにて帰国報告会を開催する予定。
・「生きた共同体の分かち合い」という信仰にもとづく分かち合いを一昨年の黙想会か ら始めた。不定期だが、関心のある方は「共同体を生きる」グループ担当者まで。

4-4:新しいきょうどう:
・今回、報告事項はありません。

5.次回セミナー:
・9 月 10 日(日)午後 4 時から 5 時半までヨセフホールで行われます。

                 (文責:英神父とミッション 2030 促進チーム)

配付資料:
祈りのセミナー3 2017 年 7 月 9 日、「意識の究明」、「ルカによる福音 2:22~52」、 「家族のために・ともに(何を願うか)」

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