テキスト版　ルカ福音書22章14-27節「キリストの身体―いのちをわかち合う」最後の晩餐の高間エルサレム 聖地巡礼の旅

ルカ福音書22章14-27節「キリストの身体―いのちをわかち合う」2010年3月7日聖地巡礼の旅、最後の晩餐の高間、エルサレム

時刻になったので、イエスは食事の席に着かれたが、使徒たちも一緒だった。イエスは言われた。「苦しみを受ける前に、あなたがたと共にこの過越の食事をしたいと、わたしは切に願っていた。
言っておくが、神の国で過越が成し遂げられるまで、わたしは決してこの過越の食事をとることはない。」
そして、イエスは杯を取り上げ、感謝の祈りを唱えてから言われた。「これを取り、互いに回して飲みなさい。
言っておくが、神の国が来るまで、わたしは今後ぶどうの実から作ったものを飲むことは決してあるまい。」
それから、イエスはパンを取り、感謝の祈りを唱えて、それを裂き、使徒たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与えられるわたしの体である。わたしの記念としてこのように行いなさい。」
食事を終えてから、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による新しい契約である。しかし、見よ、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に手を食卓に置いている。
人の子は、定められたとおり去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。」
そこで使徒たちは、自分たちのうち、いったいだれが、そんなことをしようとしているのかと互いに議論をし始めた。また、使徒たちの間に、自分たちのうちでだれがいちばん偉いだろうか、という議論も起こった。
そこで、イエスは言われた。「異邦人の間では、王が民を支配し、民の上に権力を振るう者が守護者と呼ばれている。しかし、あなたがたはそれではいけない。あなたがたの中でいちばん偉い人は、いちばん若い者のようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい。
食事の席に着く人と給仕する者とは、どちらが偉いか。食事の席に着く人ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である。

イエス様の最後の晩餐から受難に向かって行く、出発点になるところですね。
イエス様は弟子達と、さっきのところかははっきりわからないのですが、この辺りで、高間で最後の晩餐を行われました。

その中でしたことのひとつが、今読んだ、ご聖体の制定です。カトリックと、東方教会はご聖体として認めている。プロテスタントの方々は聖餐式として行っているわけです。
私たちが、イエスの身体をいただくことによって養われる、そのお恵みですね、それを私は、いわば、謙遜の局地のしるしだと思いますね。ご自分のお体を、私たちに分かち合ってくださっている。その恵みが今も私たちに続いているということだと思います。

生誕教会で、Iさんの話を聞いて思ったんですけど、飼い葉桶で赤ちゃんのイエス様が寝ておられた、飼い葉桶が置いてあったんで、それは何らかの家畜が、ロバだったか、馬だったか…、家畜がいたのは確かだったんでしょうが、飼い葉桶にイエス様が寝かされていたというところから、確かに、もう、出発しているかもしれない。飼い葉桶は、餌を食べるものですから。イエス様はその時から自分の体を分かち合うことが定められていた。飼い葉桶には、そこで動物たちが養う餌を得たわけですけれども、その最初の行為、それがはっきり出てきているのが最後の晩餐で、ご自分の身体を分かち合ってくださるんですね。

イエス様の生涯は「分かち合い」、自分自身を与えるという、そのことに尽きていると思います。それは、謙遜の最大のしるしだということですね。ここでは、「給仕する者である」、イエス様自身が食事であって、で、それを配る者であるという。その神の愛の究極の姿に私たちがいつも与っているということ、それを本当に心に刻みたいと思います。

私自身、今のテレビ番組で苦手なもののひとつで、動物が動物を食べるシーンがいっぱい出てきて、いかにも弱肉強食を強調している番組があるんですが、ダーウインの進化論からいったら、強いものが弱いものを殺すという…これは僕は番組のコンセプト自体が間違っているのだと思うのですが…、それは現実です。強いものは弱いものを食べていくという。弱いものを食べていくことによって、だから私たちが、朝昼晩食事していますが、他の命を食べているわけですよね。植物だあろうが動物だろうが、他の命を食べているんです。だから、弱肉強食ということがなければ、人間も生きられない。動物も、誰も生きられない。それはもうはっきりとしている。必ず、強いものが弱いものを食べるということで、私たちの命は成り立っているという現実は、ダーウィンが言っている通りなんです。全く現実だと思います。

でも、それを逆さまにしているのがイエス様です。強いものが、本当に力のあるものが弱いものに分け与えてくださっているということ、だから、全く逆なんです。だからイエス様は弱い弟子の足を洗ったし、私たちすべての罪を許してくれたのは、神様の謙遜さからきていることであるのです。
まあ、その逆もしなければならない、事実ですからね、朝昼晩他の命を食べなければ生きられないのは事実で、認めなければならないんですが、ただ、それだけで私たちの生き方が終わらないように。逆に、分かち合っていく。強いものが弱いものから取るんじゃなくて、強いものが弱いものに分かち合っていくという、逆向きの力こそ、神の愛のしるしだと思います。私たちがイエス様の恵みをいただきながらイエス様の心を生きれるように願いましょう。

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