【ミサ説教】マルコ福音書10章17-30節「三途の川が渡れない」
マルコ福音書10章17-30節「三途の川が渡れない」2024年10月13日年間第28主日ミサ六甲カトリック教会
今日の福音書朗読とお説教の聞きどころ
- この人の年齢は書いてありませんが、年配者だと考えてみるとどうでしょうか
- 「あの世」には財産持っていけません
- 仏教でいう「三途の川」も、お金持ちの場合渡るのが大変なようです
なんとなく若者が聞きに来たのだと思っていたけどね。。。
福音書朗読 マルコ福音書10章17-30節
17〔そのとき、〕イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」
18イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。
19『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」
20すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
22その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
23イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」
24弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。
25金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」
26弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。
27イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ。」
三途の川が渡れない
今日の福音書の話はなんというか、ちょっとモヤモヤする気持ちも何か残るように思います。この救われ救われなかった人の話が書いてあるんですよね。この人は真面目な人で十戒を守っていて、その上で永遠の命を得るにはどうしたらいいかということですね。イエス様は慈しんで言われたと書いてあるので、だから罰するためにとかですね、そういうつもりじゃなくて、欠けているものが一つあると、アドバイスをしてるわけなんですが、持ってるものを売り払って、貧しい人に施しなさいと。そうすれば、この永遠の命の道が確かなものとなるというふうに、彼にアドバイスしたんですけど、残念ながら彼は立ち去ってしまった。永遠の命を諦めてしまったわけですね。何でかっていうと、お金持ちだったからっていう。お金持ちだったから、自分の財産を売ることができなかったというですね。そういう悲劇的なことが書かれています。
もしも老人だったら
でもなかなか財産を売って貧しい人にって言われても、世知辛い世の中ですからやっぱりいつ病気するかわからないし、何歳まで生きるかわからないからせめて葬式費用ぐらいはとっておかなきゃとかですね、あるいは若い人になるほど、子供の養育費とかね、これから家買いましょうとか何とかかんとか言うわけですから、金を売り払ってって言われてもちょっとこれなかなか厳しいなというふうにやっぱ考えざるを得ないんですけど、マルコの福音書ではですね、ここに来た人が青年とは書いてないないんですよね。年齢は書いてないんです。このマルコ福音書では。
だから若い人が来た場合に何かちょっとなんか厳しいような。でも逆に若い人だからなんか新たなチャレンジできるような気もしますが、でもこれを言った人がですね、もうヨボヨボのおじいちゃん、おばあちゃんが死を目前にしている人がここに来たときの話をしてるとしたら、案外ちょっと受け取り方は変わるんじゃないかなと思いますね。
もう死ぬ前に永遠の命を受け継ぐにはどうしたらいいでしょうかって聞いていたとしたらですね。持ってるものを売り払って、貧しい人に施しなさいと。もう十分持ってるんだから、しかももうあなたの命は短いんだから、永遠の命に至るために、その持ってる財産を処分しなさいっていうふうに言われてるとしたら、別に不思議なお話じゃないっていうかですね、やっぱり死が近づいてきたら、結局死ぬとき財産1円も持っていけないわけですから、実際どんなに立派な家に住んでてもどんなにお金がいっぱいあってもですね、どんなふうな有名であって何とかかんとかでも、死後の世界に持っていけないわけですから、それだったら永遠の命に繋がるために、天に富を積むのが大事ですよとイエス様が言ってるわけですね。
そうすると、これは私達の今の生き方、特にもう私も60を超えたから、だんだん自分の死を意識してますけど、そのようにして捉えたときに、このイエス様のおすすめはどのようなことをどのような自分に対するすすめなのかっていうことをしっかりとですね、振り返ってみたらいいのではないかというふうに思います。
三途の川が渡れなくなる
ちょっと仏教の話をすると、人間が死んだらですね、極楽に行く行く前にですね、三途の川ってのがあるんですよね。この三途の川を渡らないと、この極楽に、天国というか、極楽にいけないんですよ。
ある大金持ちの人が死んでですね、大金持ちの人が死んで、そしてあの三途の川のところに来たんですよね。そしたらその三途の川の向こうから天国とか極楽がちょっと見えるんですよね。ここに行けばいいかなと思ってでもそれなりの川だから、そしたらちゃんと昔ですから渡し舟があって、船頭さんがいてそれで渡し舟に乗って、この三途の川を渡って、極楽に行くんですよね。彼はそこに船頭さんがいるから、三途の川を渡るんで乗っけてくれって言ってですね、いくらだったら、たったの六文なんですよね。六文銭ですけど、1円よりもっと安い。昔の六文さえ払えば舟に乗せてもらえる。大金持ちだから、もう六文、ぱっと渡して渡し舟に乗ったんですよね。
向こう岸も見えてるからすぐ行くかと思ったら、なかなかつかないんですよね。いかないどころか、川の流れが激しくて、だんだんと下流に流されていくわけですよ。他の舟見たら、ちゃんと向こう岸に進んで着いていて、自分の舟だけはなかなか進まないし、しかもだんだん下流に流されてですね、驚いて船頭さんに、あのこの船はどうなってるんだって言ったら、船頭さんが呆れた顔で舟の中ちょっと見てみなさいと言った。自分1人だけで来たと思ったら、その舟の中には、今まで自分が持ってた財産の宝物が全部その舟に乗ってるんですよね。だから重くて重くて、もう舟が沈みそう。昔だから小判とか何とか今とちょっと違いますけれども、財産がいっぱい乗ってて、もう重すぎて動けませんって、船頭さんが言うんですよね。
船頭さんは漕ぐのを諦めちゃって、あんまり重たいから。それでそしたらもう大金持ちが青くなって、この三途の川下っていったらどこに行くんですかって聞いたら船頭さんが「地獄に行きます」って言うからますますその大金持ちの人が慌ててですね。だけど船頭さんは漕ぐのをやめてるし、もうあんまり船が重いから逆に沈みそうなんですよ。
そしたらこの大金持ちの人が船頭さんにどうしたらいいんですかって言ったら、川底を見てごらんと言うんですよね。三途の川なんで、すごい澄んだ綺麗な水なんですけど、川底が見えるんですよ。大金持ちの人が三途の川の川底見たら、財宝がザックザク三途の川の川底には宝物がいっぱいあるんですよね。大金持ちはあれも持ってったらいいかなと思って、むしろ逆にそれはどうやって引き上げるかなと思うんです。
そうしたら船頭さんが言ったんですよね。「三途の川を渡るには、自分の持ってたものを全部川底に捨てないと向こう岸につけない、あなた大金持ちで船にこんなに財産がいっぱい載ってるから、いついつまで経っても向こう岸につけないですよ」。船頭さんにそう言われて、どんどん下流になるから川幅がどんどん広がって、乗るときには見えていた極楽がもう見えないんですよ。川幅がどんどんどんどん広くなっちゃって。で、もう困り果てて、どうしたらいいですかって船頭さんに聞いたら、「いやもう捨てなさい、持ってるもの全部」と。これはもう地獄に行くよりはいいかと思ってですね、生きてる間に稼いだ財宝を一生懸命この舟から川に捨てたんですよね。全部全部全部捨てたらやっと軽くなってきて舟が。そしたらそれだったら漕げるわって船頭さんが。そうしてその人は、何とかかろうじて向こう岸に渡ることができたっていう。
執着心や囚われを捨てて
だからイエス様はおっっしゃるんですよね。金持ちが神の国に入るのは何と難しいことかって。お釈迦さんも全く同じってことですけど、やっぱり永遠の命に至る自分の心構えは何なのか。もちろんこれはだから、本当の財宝というよりは、人間の中にある執着心とか囚われとか。
結局ね、なんかもう、どうやって老後2000万必要ですとか、だからなんかとにかくどのようにして生活安定して過ごしましょうってことばっかり考えてたら、それも考えなくていいってわけじゃないですけど、でも私達が目指してるのは三途の川の向こうに行かなきゃならない。永遠の命の世界に向かって私達は歩んでるわけですから、永遠の命に至るために何を本当にしなきゃならないのかを私達がやっぱ考えなきゃならないでしょう。
天に富を積むことが大事だとイエス様ははっきりおっしゃってるわけですから、私達が生きてる間に、この世に富を積む必要性はほぼゼロなんですけど、生活がね、ある程度あれですね。でも本当に大事なのは、天に富を積むことが大事で、それが永遠の命に繋がりますと、イエス様おっしゃってますから。私達が本当に変わらないと。
神様が喜ばれる、そして永遠の命に繋がる価値あるものを私達が大切にしてそれを、それに向かって歩んでいけるようにですね、自分のためにも周りの人のためにも祈りを捧げながら実践していきたいと思います。
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