【ミサ説教】ヨハネ福音書14章15-16, 23b-26節「聖霊の恵みは共同体の祈りから」

ヨハネ福音書14章15-16, 23b-26節「聖霊の恵みは共同体の祈りから」2025年6月8日聖霊降臨のミサ カトリック長府教会
クリスチャンの最大のお恵みは一人一人に聖霊の恵みが与えられていることでしょう。そして共同体に与えられた聖霊の恵みは大きな力を発揮して世の中を変えることもあります。悪の力に負けないように、心を合わせた祈りの力によってさらに大きな恵みが与えられるよう祈りましょう。

一緒に祈ることは大事なんだね
ヨハネ福音書14章15-16, 23b-26節
〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕15「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。16わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。
23bわたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む。24わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしをお遣わしになった父のものである。
25わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。26しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。」
聖霊の恵みは共同体の祈りから
イエス様が復活されて、そして昇天した後、わたしたちに聖霊の恵みが与えられた。わたしが思うのですが、クリスチャンとして生きる中で、やはり最も大きなお恵みはなにかと言ったら、わたしたち一人一人に聖霊の恵みが与えられているということですね。
それは本当にどんな宝物をもらうよりも、何か宝くじが当たって、お金がたくさん入ってくるよりも、もっと素晴らしい贈り物だというふうにつくづく思います。聖霊の恵みがあるから、わたしたちの心に慰めや喜び、励ましの心が与えられるわけだし、困難があったときに、それを乗り越える力、あるいはわたしたちが人を愛していく力、すべて聖霊の恵みから来ているわけですから、聖霊の恵みが与えられて、そしてこの聖霊の恵みを生かしていくということ自身が、わたしたちにとって本当に大きな恵みだというふうに思います。
今日の第1朗読で、最初の聖霊降臨の出来事が描かれていますが、一番最初の聖霊の降臨の恵みは一人一人に与えられているけれども、実はこの共同体全体に与えられる共同体への恵みなんですね。みんなが聖霊の恵に包まれた時に、この違う言語を話す人々の言葉のバリアーがなくなってしまって、みんな共通理解というか、同じ心、同じ思いをみんなが抱くことができた。そこから私たちの信仰教会が始まったということですね。この共同体に働いている聖霊の恵みも、私たちは大切にすることができたらいいのではないかというふうに思います。
でも、しかしながらですね、聖霊の恵みが与えられる現実があるとともに、この共同体というか、人間の集まりには悪の力がものすごく働くことも、みんなが悪の方に動かされることもあるということですね。それも私たちは気をつけてなきゃならないことだというふうに思います。
最近は特にSNSを通して選挙とかですね、何かを通しても何かものすごいある方向から情報が流されたら、みんなそっちの方向にあっという間に流されてしまうということもあるわけですね。この前まで私、兵庫県民でしたから、ちょっとご存じの今の知事をめぐる問題は、実は当事者というか、選挙なんかも投票に行った人々ですからね。その中で中にいましたけれども、本当にこう、ある流れが来ると、みんなバーッとこう流されていく、そういう怖さもやっぱりあるということですね。
まあちょっと共同体とか大きな話をすると、やはり悪の力というのは国全体に覆うこともある。SNSがもっと流行る前の時代ですけど、1990年代、記憶の記憶にある方は少ないかもしれないですけど、1990年代ですけど、ルワンダというですね、アフリカの国で、それも悪の力がいっぺんに働いて、20世紀の最後、つい最近のことですけれど、大虐殺があったんですよね。
民族と民族が対立して。それは何でかと言ったら、おんなじなんですよ。プロパガンダでいろいろいろいろと発信されるので、それがなかったらラジオとかテレビでものすごくいっぱいそういうみんなをあおる。悪の力を語る時は、人間の憎しみとか怒りとか、眠っている「人をやっつけたい気持ち」をかき立ててくるんですよね。
で、それが一挙に爆発していけば、聖霊の恵みと全く逆の力があっという間に結局、フツ族という民族が少数派のツチ族を10ヶ月で100万人殺したんですよね。何の罪もない人を100万人、10ヶ月で本当に皆殺しも大変な状態で、国連軍も入らなかった。
全然。資源とかない国ですからね。もう他の国も周りのヨーロッパとかアメリカとか全く知らんふりで、だから10カ月で100万人殺されるというのもつい最近の話ですからね。しかも本当に胸が痛いのは、カトリックの国なんですよ。ほとんどみんなカトリックなんですね。
で、しかもそれも本当に胸が痛いんですけど、イエズス会のミッションで始まったカトリックの国なんですね。
ベルギーのイエズス会員たちが宣教師として入って、それでカトリックになって、ほとんどみんな国民がカトリックの国だったのにもかかわらず、大虐殺で100万人が罪も本当に罪もない人が100万人殺される悲劇がある。
だから私たちはもっと注意していないと。聖霊と違うですね。この心の中にあるいらいらとか、フラストレーションとか、怒りとか、何かが合わさってくると、とんでもないことにもなる。それを気をつけなきゃならないと思います。
でも逆に聖霊の力も私たちが心を合わせれば大きな力になることもありますね。
それはもうちょっと前、1980年代のフィリピンなんですけど、それを皆さんもあんまり覚えてないかもしれない。マルコス大統領っていう悪いやつがいて、独裁者で。敵をどんどん殺してですね、もうやっぱり同じです。プロパガンダで、もうラジオとかもテレビを使って宣伝して、どんどんやっつけて。やられた一人がアキノというですね、上院議員の大統領だったんですよね。
ニノイアキノっていうんですけど、上院議員で戒厳令が引かれて、それで逮捕されて。でもそれは奥さんが誰かと言ったら、後に大統領になるコーリー・アキノなんですよ。でも結局、戒厳令で突然何の理由もなく逮捕されて、生きてるか死んでいるかもわからない。
その時にコーリーの奥さんと子供たちがどうしたかといったらですね、それは昔のフィリピンもまたカトリックの国ですよ。ほとんどカトリックなんですけど、奥さんどうしたかといったら、昔のカトリックの家族なんですね。夕食の後、必ず家族全員でロザリオを唱える習慣があったんです。
今してる人、ヨーロッパも日本もあまりないないけど、昔はそれが普通だったんですね。夕食の後、家族全員でロザリオを唱える習慣があったんですね。で、コーリーははそれを思い出して、とにかく旦那がもう行方不明というか、どこにいるのかっていうことがわからないけど、結局自分たちの習慣を思い出して、毎晩毎晩ロザリオの祈りを唱えてたんですよ。
で、ニノイ・アキノの方も結局刑務所に入ったんですけど、同じ時間をそれを唱えてたんです。コーリーとニノイが後に言っていることですけど、その時が一番家族の結束が強かった。お互い何にもわからないけど、でも祈りで繋がってた。その家族が毎晩殺されるので、今までの習慣があったからそれで繋がってて、その時の家族の一体感というのは悪の力が働いて、この国全体の悪の力ですよね。その中でもくじけず乗り切れたのは、家族で共に祈るということがあったんですね。
その後どうなったかといったら、ご存知でしょうけど、釈放されたけど結局活動ができないのでアメリカに亡命するんですよ。ニノイ・アキノの方は。旦那さんの方は。それで民主化運動がすごく盛り上がってきたので、彼がリーダーとしてフィリピンに帰ってくるわけなんですよね。帰ってきて暗殺された。飛行場で暗殺されるんですよね。
でもそれが逆にみんなの民衆の心に火をつけて、結局その時はただの主婦であったコーリーがリーダーになって、それでマルコスと対決するようになって、大統領選を不正があって、マルコスが勝つんですけど、でも結局不正操作されてるのが明らかなので、そこで革命が起きてですね、結局もちろんいろんな力が働いて働くわけですけど、結局マルコスはもう地位に就くことができない。でも結局内戦とか戦争にならず、マルコスは結局逃げざるを得なくてですね、ハワイに亡命して、それでコーリー・アキノが旦那さんの代わりに大統領にんる。そこそこからフィリピンの民主化が始まるんですよね。
そこを僕は本当に国全体に聖霊の働きが働いて、憎しみとか怒りではなくて、やっぱり愛と平和の心をみんなが共有して、それでピープルパワー革命とか、人々の力によって、しかも血を流さず革命が起きて、フィリピンが平和な国に近づくわけなんですけども、そのこともやっぱり国レベルでも起こり得るわけですよね。
でも僕はフィリピンの聖霊による大きな革命の原点はどこにあるのかと言ったら、ニノイとコーリーが毎晩祈りを唱えていた、ロザリオから始まったと私は思っているんですけども、やっぱり小さな祈りから、私たちは何かがやっぱり始まって、共に祈るところからですね、その後またいろいろあって、結局、実は私は明の家にすごく親しみがあるんですけど、何でかって言ったら、神学生の頃にフィリピンに行った時に、コーリーってものすごく信心深い、熱心なカトリック信者で、霊的指導司祭イエス会の神父さんだったんです。で、僕はフィリピンに英語の勉強に行ってる時に、コーリーの誕生パーティーに招待されて、実はアキノ家の誕生パーティーに出席してるんですけど、それだけでなく、他の神学生と若い神学生を可愛がっていたっていうのかな。応援してたから。
たまたま私が外国に来て、その時は既に大統領の任期が終わってたんですけど、元大統領の家とか…もちろん大金持ちですけど、元大統領にしては質素な、まあもちろん大きなお屋敷ですけど…質素な家で、誕生パーティーに呼ばれて、ちょっと空いている席に座ったら、アキノ家の親類の席に座っちゃって。喋っていて、その後、結局息子がしばらく後に大統領の息子も大統領になるんですけど…フィリピン人ってそのあだ名で呼ぶんですよね。みんなベニグノなんですけど、息子は3世なんですが。ノイノイと言われたんですけど、ノイノイと僕は誕生日が全く同じなんですね。全く同じ日に生まれてて。だからそれで親しみがちょっとあるんですけど、ともかく結局はノイノイもコーリーももう既に亡くなって、歴史は巡りますけど、今の大統領は独裁者、マルコスの息子ですが、今の大統領ですから分からないようなめぐり合わせですけれども、でもやはり私たちは、政治の世界は色々ありますけど。
でもね、私たちが憎しみとか怒りとかフラストレーションをつなげちゃうと、悪の力がどーっと来て、独裁者が出てきたり、動き、苦しみに怒り、いつの時代でも今でもすぐでも来るかもしれない。でも、私たちが共に親しい人たちと困難の中にあっても、本当に心を合わせて祈るところから、やっぱり愛と平和の力がやっぱり広がってくる。
そこから私たちに聖霊の恵みも与えられますから。
どんな困難があっても、やはり心を合わせながら家族全員に乗るというのは、ちょっと今できないかもしれないけれども、でもやっぱり親しい友達や仲間と共に祈り、共に歩む中でこそ、聖霊の力がみんなに働くんでしょう。
自分だけじゃなしに、周りに影響を与えてくる。この精霊の力を私たちは信じていきましょう。
困難が少々、一人ひとり当然ありますけれども、でも、だからこそ私たちは心を合わせて祈りを捧げて、前を向いていく時に、私たちの間に聖霊の力が広がってきますから、この悪の力に負けないで、私たちが聖霊の恵みを分かち合っていけるように、主に祈りを捧げたいと思います。
Podcast: Play in new window | Download